約 6,372,088 件
https://w.atwiki.jp/crossnovel/pages/47.html
涼宮ハルヒの憂鬱×ウルトラマン 涼宮ハルヒシリーズと帰ってきたウルトラマン第33話「怪獣使いと少年」のクロス 長門がメイン ハルヒは序盤こそ目立つけど… クロス先がクロス先なんで少々鬱い ハルヒを題材にしてはいるけどキョンの一人称形式では無い 少々キャラ崩壊注意(特に長門) 長門有希の怪獣使いの少年 コメント欄 感想・意見等はこちらに 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/mncorelay/pages/408.html
「ふう、助かった…。 助けてくれてどうもありがとう!」 Willより出演。 全角語を話せるジエン種のアスキーアートだが、その正体はモララームの生み出した分身であり、運命代行者からは「模擬人格」と呼ばれている。 しかしこのウィル本人には独自の自我が存在している。 ちなみに原作ではウィルという名前はフロイトという相方から名づけられたもの。 曰くこのフロイトとは「生まれた時からの相方」であり、行方不明になった友人のマフラーの男ことフロイトを捜してdatの世界中を旅している。 HP、攻撃力、防御力がそろって低いが、精神力と敏捷性がきわめて高い。 特技は主に光属性の魔法と回復魔法で、なかなか燃費がいい感じであるため真っ先に味方の傷を治すことの出来る補助役としてもかなりの活躍が可能である。 物語後半で再会すると、その能力はさらに上昇し精神がついに欠片のモララームを凌ぐようになる。 更に状態異常回復技、全体回復技やMP100消費の強力な必殺技を習得し、後半にふさわしい強力な仲間となる。 しかし彼の捜したフロイトはすでに生まれ変わっており、最終的には彼の手でモララームに引き渡されてしまう。 その記憶や能力はモララームに引き継がれたらしいが、それが今後どう生きてくるかは不明。 もしかしたら彼の戦いは今も続いているのかもしれない。 なおLoveに登場したウィル先輩とは違うキャラなので区別すべし。 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/mncorelay/pages/27.html
「無我夢中で進んだけど こっちで合ってるんだよね……?」 山奥シリーズより出演。 こんいろの布の切れ端により変身可能。 戦闘能力のないお嬢さん。 非常にパラメータは低い。 が、MP減少技の銀の短剣、MP回復技の祈る。 更にはバランスブレイカーのリンガフランカーを習得する危険なお嬢さん。 さりげなく通常攻撃は必ずクリティカルになる。 また、状態異常はほとんど効かない上に25%の確率で敵の攻撃を回避。 クリティカルも発生せず、強化後は全魔法属性を半減と低い能力を他の面でカバーしている。 1ターン目で倒されるかどうかが勝負の鍵である。 ちなみに「ナーシャ」はモナムソン専用。 よって「シア」なのである。 フルネームは「モナーシア・グランセリウス」 喋らせづらさが半端じゃないキャラの一人。 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/mncorelay/pages/1103.html
EDENより出演。 ブラウザ試作弐号機の開発チーフであり、いつの間にか機械技師のチームメンバーになっていた、ブーンシス?の研究員。 イケメンおにぎり。 「戦闘は苦手だ」の言葉通り、能力は低く斬突打属性と驚きに弱い。 特技も消費の割に威力が低い爆弾に麻痺にするだけで威力の低い痺れるおにぎり、防御を上げ防御半減を回復するが消費と上昇量が釣り合わない赤い石などネタ臭が強い。 しかしアヒャ酒は消費22ほどで単体の攻撃を80ほど上昇させるので役に立つ。 吸属性までついていることでソウの特性の影響を受けずに攻撃を上げられるため、一部の場面では重宝するだろう。 ちなみにこいつの乗っているアマンダはモラージュのもので、ブラウザ試作弐号機は実質ハインの造ったもの……。 果たしてこいつの功績とは……? 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/mncorelay/pages/211.html
Willより出演。 イービルと呼ばれる魔物の古代種で、人の夢の中に入り込んで記憶のエネルギーを食べる存在。 心の奥にいるほど、その人物が精神的ショックを深く持っていることになる。 夢魔を追い出さない限り、その人物が目覚めることがない。 群れて行動し、数が減るほど攻撃が苛烈になる。 ニック、モーノ、アートスの三人がこれである。 魔王がいるなら最後に残すのはアートス一択。 ちなみに子供のような外見だが数百年以上生きているという。 ちなみに彼らはWill、Loveの双方に登場している。Willでは愛犬㌦を亡くして落ち込んでいるチビフサに、Loveでは自分が迷惑をかけていると心を塞ぎこんだモナニールの心に入り込んだ。 結局はそのどちらも宿主の体から追い出されてしまっている。 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/mncorelay/pages/538.html
「お前に一度頭をぶつけてやる!」 True intervalより登場したツェルディスの戦友。 MPの意味がまったくない。 攻撃力が高く、クリティカル率も非常に高いため通常攻撃だけでもわりと火力がある。 ただし当たらない。命中が低いため当たることが少ない。 おまけに鈍足。余計に攻撃が当たらない。体感が実数値よりも遥かに命中を低く感じさせる。 HPが高いのもあり、アイテム係に回りがちである。 ちなみに強いと言っても倍化属性とかはないので威力が運になりばらけがち。使いづらいし選ばれづらい。 援護行動は通常攻撃であり、230~330のダメージを敵単体に与える。 ちなみに必中である。クリティカルは出ないのだが、さすがに普通に参加した時もそれくらい当てろといいたくなる。 まあパーティーメンバーと援護メンバーの性能の違いはバトルイベント処理の都合であり、仕方がないのだが実に歯がゆい。 そんなわけで、ほぼ援護確定のキャラ。報われない。 同僚のモラネクトに比べてストーリー上で目立っているだけ恵まれてる、と前向きに考えてやろう。 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/mncorelay/pages/201.html
Willより登場。 フフフ、オトメン、腹黒アヒィ、ギコラルドよりなる四人。 フェイト・アバターと読む。出囃子は片翼の天使。 神に代わって世界を見守り、導く存在。 なのだが…… モララーム:塔にぽつんと落ちている欠片。 ニラハルト:マリスに操られ登場するただのボス。恋愛小説好きらしい。 シイモーネ:シゲエルの変身した姿。償うためと言って襲ってくるが意味は分からない。 ギコラルド:datの秩序を守る者としてシゲエルを捕らえ、ネームレスに主人公達を監視させている。 と、ギコラルド以外は初登場にネタ臭が漂う。 ちなみにハルタートは青い運命代行者を傷をつけた存在として恨んでいる。 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/sekaiju_name/pages/14.html
世界樹の迷宮総合 命名用Wiki に対する編集の仕方、要望、レイアウトの話し合い、荒らし報告などはここで。 ↑新1の主人公です - 名無しさん 2014-11-15 00 20 28 「世界樹と不思議のダンジョン」は、既存のクラスだけみたいなので直リンクのみにする予定。 - 名無しさん 2014-12-14 18 48 59 新クラスが登場しちゃったので、職業のみを作り、ギルドネーミングは無しの方向で。 - 名無しさん 2014-12-18 17 51 04 ゾディアック♀ ルーシィ 名前の由来はFAIRY TAILのヒロインにしてもう一人の主人公星霊魔導師ルーシィ・ハートフィリアから。 - HARU 2014-12-15 21 23 10 登録する場合はビーストキングから移動させ、説明文を修正してください。 - 名無しさん 2014-12-16 08 04 42 命名Wikiの方針としては「NPCやアイテム名などとかぶったら削除」のようですが、「すでに使われている名前」をどこかに列挙してもらうことはできないのでしょうか。 - 名無しさん 2015-03-18 01 24 20 ブシドー♂ ラセツ 由来はパワポケ10 裏サクセスの登場人物 - 名無しさん 2015-05-05 00 08 18 プリンセス カチュア タクティクスオウガの主人公デニム パウエル(モウン)の姉 本当の名前はベルサリア オヴェリス - 名無しさん 2015-05-05 00 12 02 アルケミスト男 カーネル 悠遠物語に登場する錬金術師の名前 - 名無しさん 2015-05-05 00 19 39 メディック女 ネムリ 片道勇者に登場する薬師 - 名無しさん 2015-05-05 00 27 08 フーライ男 シャスカ 元ネタはゆうなまの勇者 元ネタの元ネタがシャア アズナブルと女剣士アスカ - 名無しさん 2015-05-05 00 31 02 世界樹の迷宮2のギルドハウス名、何故食べ物屋ばかり… - 名無しさん 2015-10-19 22 22 25 世界樹の迷宮 無印~4(新含む) ギルド名 ラボor未来ガジェット研究所 元ネタはsteins;gate の岡部倫太郎が作ったサークル - 名無しさん 2015-10-19 22 36 05 「未来ガジェット研究所」は文字数オーバー。それと、ここに書き込む意味は? - 名無しさん 2015-10-20 08 29 54 5の職業、ネクロマンサー、シャーマン、セスタスが入っていないのはどうしてでしょうか。 - 名無しさん 2016-04-27 11 18 44 追加希望 世界樹4 気球艇 「メイコン」 元ネタ アメリカ海軍がかつて保有していた飛行船 - 名無しさん 2016-06-10 04 37 33 5には二つ名の項目があっても良いと思います。また、当項目では漢字の使用を前提として想定しても良いのではないでしょうか - 名無しさん 2016-07-23 00 26 03 二つ名を認めたら管理がより面倒になります。今はまだ様子見で。 - 名無しさん 2016-07-23 13 26 57 5ではハウンドの使う猟犬や鷹にも命名できるので、職業ではありませんがその2つのページがあってもいいかと思います - 名無しさん 2016-07-23 18 58 18 追加希望、ネクロマンサー♀プロメス - 名無しさん 2016-08-01 04 55 43 ↑デモンゲイズの葬儀屋です - 名無しさん 2016-08-01 04 56 39 ↑自分で追加してください。 - 名無しさん 2016-08-01 06 13 45 5のマスラオ♂でソードアートオンラインのキリトとか駄目ですかね?二刀流で別名が「黒の剣士」 - 名無しさん 2016-08-04 13 15 53 リンク集のサイトがいくつか閉鎖等されているようなのでコメントアウトしておきました - 名無しさん 2016-09-12 23 43 11 名前 すべてのコメントはこちら
https://w.atwiki.jp/seizou/
次回の開催予定 2024年08月の開催予定は2024/08/17です。 あと、5日後に開催。 開催場所はいつものように首都南口を少し北になります。 9月の活動報告 製造市は木曜日から土曜日21時に開催時間を移動しています。 首都プロンテラ南口内で開催します。 紹介文 このWikiはRadgridサーバーにて月1回、土曜日の夜9時より開催されている製造市の紹介Wikiです 欲しい物が有って材料もあるのに造ってくれる人が居ない、どうしよう・・・?最近倉庫にハーブが余ってきたなぁ。有効利用をしようかな。クホグレン、失敗しすぎ!もうお金も無いよ! 上のような考えをお持ちの方はぜひ製造市に来てください。その材料を生かして見せます! 材料持参で何でも作成、なんでもクホホ。ゼロピからプロンテラ城まで、材料と手数料のお金さえ用意してくれれば何でもクホホホホ!! これだけは見てください! 材料は持ち込みとなります。 依頼をしたい場合はその旨を会場内でオープンチャットにて発言してください。あとはこちらが対応します。 依頼料金は無料です。おひねりは大歓迎ですが、あまりに高額な場合はお返しする場合もあります。 一度の依頼には上限があります。本当はいろいろとややこしいのですが「一度の依頼は1000個まで」これを覚えていただければ十分です。ただし、他に依頼人がいない場合は追加作成OKになる場合もあります。 トワイライトファーマシは日によっては出来ない場合があります。 22 50分にはオーダーストップとなります。 最後に 何か分からないことがあれば実際に製造市へお越しください。疑問質問なんでも答えます。
https://w.atwiki.jp/crossnovel/pages/62.html
□ 黒いコートを翻し、炎で燃え盛るビルの屋上を乃木が跳ぶ。 銀の重装甲をまとったカブト・マスクドフォームは右拳を一直線に突き出した。 速さ、角度ともに乃木が避けれる道理はない。なのに、カブトの拳は空を切る。 「またか……!」 「遅い」 カブトの背後に気配を感じ、振り向くと乃木が人間の姿のまま拳を振るった。 人間の限界を超えたような重く速い拳の連打がカブトの胸部に打ち据えられる。 衝撃にわずかに後退しながらも、カブトは最後の三発を華麗に捌いてカウンターの拳を放った。 再度空を切る拳。狙いの場所より、乃木は数十メートル後ろにいた。 「噂の天道総司もこの程度か」 そういって悠然と立つ乃木を前に、カブトは右拳を引いて構えを取る。 冷静に思考を奇妙な空振りにあてた。擬態形態の乃木に、クロックアップを使われたのだろうか。 擬態形態でクロックアップが使えるワームなどいない。 しかし、それが一番しっくり来る答えである。それでもカブトはこの答えを否定した。 (クロックアップを使ったのなら、移動時の余波による風、空気の振動、音が発生する……となると) 「答えないとは、考え中かね?」 背後でささやかれて、カブトは目の前にいたはずの乃木が目にも留まらぬ速さで移動したことを知った。 いや、これは“速さ”ではない。風も振動も音もなく移動できる。候補を数個考え、クロックアップの進化系と結びつけた。 「……時間停止能力か」 カブトは振り向いて、ゆっくりと距離をとりながら答えた。 乃木のメガネの奥の瞳が驚きに満ちる。感心したかのように両手をたたいて拍手をし始めた。 「数分の戦闘、ノーヒントで能力を当てられたのは始めてだよ。さすが天道総司」 「世辞はいらない。いい加減本性を現したらどうだ? その姿で手加減するほど、俺は甘くない」 「ただの余裕だよ。すぐに決着がついては面白くないだろう?」 乃木はパチン、と指を鳴らしてメカニロイドを呼んだ。カブトが強化された視力で確認すると、撮影用カメラを向けている。 先ほど犯行声明を出したときに使ったのか。 「ここからは生中継だ。さあ、天道総司。ヒトとワームの殺し合いを始めよう!」 乃木の宣言とともに耳にカメラの起動音が聞こえる。 空間が凍ったような音ともに、紫のオーラが乃木をまとった。 鎧甲冑のようにオーラがかたどり、軟体が崩れるような音ともに乃木の全身が色を失いながら広がった。 西洋の兜を深くかぶったかのような顔。鎧のように広がる甲殻。右手にレイピアのような刃。 全身に広がる紫色の、カブトガニを模した宇宙生命体・カッシスワーム。 それがワームの首魁である乃木怜治の正体であった。 「キャストオフ」 カブトゼクターが同音を宣言して、浮いていた銀の鎧が勢いよくはじける。 サナギ程度なら破砕できる金属の塊をそよ風のように受け止めるワームを前にして、カブトの赤い角が上がった。 青い二つの瞳を輝かせ、『Change beetle』の電子音とともに赤の戦士ライダーフォームへと転身する。 「それが君の本気か。一つ忠告しよう。この戦いは放映されている。せいぜい無様な姿は見せないように気をつけるんだな」 「いくぞ……」 カッシスワームの挑発を受け流し、カブトはクナイガンを逆手に脇の前で構える。 風が吹き肌を撫でた。カブトが地面を蹴って、たった二秒で数十メートルはあったカッシスワームとの距離を0にする。 カブトクナイガンの刃が炎の光を反射する。光りが弧の軌跡を描き、甲殻を斬り裂かんと紫電のごとく速さでカッシスワームの胸部を通り過ぎた。 時間停止は使っていない。相手は油断しているとカブトは判断して、さらに踏み込んだ。 三合、カッシスワームの右手の剣とクナイガンの刃が交差する。 炎を反射して繰り返される二人の剣戟は、さながら光りのダンスのようだった。 「油断だと思っているのか?」 カブトは無言。答える義務などない。カブトは右転してクナイガンの剣先をカッシスワームに放つ。 そのクナイガンの刃が、カッシスワームの剣に跳ね上げられて強制的に軌道が変わる。 カブトが軌道を修正する間もなく、カッシスワームの剣がカブトのわき腹をえぐった。 重い衝撃にカブトが吹き飛び、火花が散りながら転がる。 「油断などではない。これは余裕だ……」 カッシスワームの言葉は嘘ではないことを証明するかのごとく、立ち上がったカブトに右ストレートをぶつけた。 カブトが固めたガードの上に拳がのっかかり、衝撃に地面が陥没する。 尋常でない足腰でカブトは耐え抜くが、腹部を軌跡の見えない横蹴りが襲った。 カブトが壁にぶつかり、「ぐ……」と呻き壁が衝撃でへこむ。ひび割れた壁からずり落ちながらも、まだ闘志を失わない瞳でカッシスワームを睨みつけた。 「無様な姿はさらさないほうがいい……といったぞ?」 「おばあちゃんがいっていた。料理は仕上げこそ気を抜いてはいけないとな。お前は必ず後悔する」 フッ、とカッシスワームは馬鹿にしたように笑って構えを取る。 それも当然だ。カッシスワームといまのカブトでは開きが大きい。 それでも諦めるわけにはいかない。エールもヒトビトもこの男は消すだろう。 ヒトの道を切り開くことが天の道。断じて許すわけにはいかない。カブトは勝ち目の少ない戦いへと、立ち向かった。 □ サルディーヌはエールの言葉の意味を考えながら、首をひねった。 なぜエールはイレギュラーになるのを恐れているのだろうか。 そんなことは絶対起きないのに。 だけどエールは怖いといっている。悲しいと涙を流している。 そんなのは嫌だ。サルディーヌの中で、炎に包まれるビルから逃げることよりも、イレギュラーから逃げることよりも、ヒーローになることよりも。 「大丈夫だよ、エール」 手を差し出し、笑顔を向けることを優先する。 泣いているエールに早く笑ってほしいと、幼いなりに考えた結果だ。 そして、サルディーヌは一つ確信していることがある。 「エールがイレギュラーになることから、僕たちが絶対守るから」 よどみなく、しっかりと、意志の強い目を輝かせてエールに宣言した。 サルディーヌの言葉に、エールは目を見開く。 ジッと見つめられて、サルディーヌは少し照れながら続けた。 「エールは強いよ。イレギュラーを倒してきたし、もっと強いフォルスロイドやロックマン、ワームだって倒してきた」 「だからアタシは……その力をみんなに向けるのが……」 「大丈夫。だってみんな、エールのことが好きだから、そんなことしても絶対元に戻すよ」 サルディーヌのあっけらかんとした声に、エールは虚を突かれた。 サルディーヌは特別なことと思っていない。ごく当たり前のことのように告げる。いや、少年にとってはそれは普通のことだ。 「僕はフルーブに、エールが強いのは勇気が、心が強いからだって教えてもらった。 だけどエールがどんなに強くても、一人で辛そうなときだってあるってみんなわかっている。 だからそんなときは僕たちがエールを助けるんだって、決めているんだ!」 サルディーヌがエールの右手をギュッと握り、漆黒の瞳を覗き込んでくる。 どこまでも純粋な瞳が、エールを捉えて離さなかった。 「エールが傷ついたときはみんなで戦う。エールが悲しいときは、みんなで一緒に楽しくする。 エールが辛いときは、みんなだって辛くなる。エールが嬉しそうなら、みんな嬉しい」 サルディーヌの言葉は当たり前のことだった。 すべて存在するからこそ、ガーディアンもエールも仲間だと胸を張っていえる。 事実今、ガーディアンはエールがいなくても戦い続けていた。 みんなはエールが戦ってくれるから、仲間だといっているのではない。 ともに道を歩むからこそ、仲間なのだ。 「だからエールがイレギュラーになるのが怖くても無駄だよ。だって、僕たちが、仲間がついているんだもん! 絶対イレギュラーなんかにさせるもんか。エールは僕たちの仲間だい!」 真剣に、純粋に、この絆が永遠のものだとサルディーヌは力強く肯定する。 だからだろうか。乾いた土に水がしみこむように、エールの心を打ったのだ。 「エールさん、サルディーヌ君の言うことが本当か、確かめてみますか?」 フルーブがいつもの優しい笑顔で、エールに通信機を渡した。 始めに届いた声はセードルのガナリ声だ。 『この……馬鹿エール!!』 エールの耳がキーンと鳴るのもかまわず、通信機にセードルは怒鳴り続けた。 間に砲撃音が聞こえるが、彼女はかまう様子がない。 『なに当たり前のことでウジウジしてやがる! アタイたちは絶対あんたを裏切らないし、あんたが間違っていたら鉄拳制裁だ! わかったか!!』 厳しいながらも暖かい、セードルの叱咤激励が通信機から胸に響いた。 さらに遠慮がちなローズの声がセードルに続く。 『エールさん。もしもイレギュラーになるかもしれないって思っていても大丈夫です。 私が新型医療アイテムを開発して、エールさんを元に戻して見せますから。 だから安心して……っていうのもおかしいですね。ごめんなさい。 でもエールさんがイレギュラーになることは絶対させませんから。 私だけでは無理かもしれませんけど……みんなで力をあわせれば絶対大丈夫です』 目を合わせる必要のない通信機だと、長くしゃべる娘だ。 エールの胸の奥がホッカリと暖かくなる。続けて通信が別の人物と切り替わる。 『エール、ワシは信じている。だからなんの心配もしておらん』 通信機越しでも、男臭い笑みをたやすく想像できるトンの短いながら、精一杯の応援。 通信が切れた瞬間、新たにアランとドラードがでてきた。 『あー、エール。きついなら無理するな。戦うことくらい、俺たちでもできる』 『そうだな。アランのお目付け役はちゃんとやるから、エールは自分のことを考えていろよ』 ドラードがしゃべり終えると、通信機越しに喧嘩を始めた。 その二人を無視して、ウイエが通信を入れてくる。割り込んでも文句が出ないので、二人は喧嘩を続けているのだろう。 『馬鹿は無視して、と。エール、あなたは今まで一生懸命だったんだから、卑屈に思うことはないわよ。 どれだけ頑張ったか、世界が相手でも私たちが証明して見せるからね』 ウイエの後も、次々と仲間たちの通信が入ってくる。 アンギーユがエールをいつもの軽い調子で褒め称えた。カルレが合理的に、でも慣れてない様子でエールを励ましてくる。 コングルがおびえながら、エールはどれだけ勇気があるのか熱心に告げた。 シリュールがやさしい口調で、老人らしく物腰をやわらかくエールを労わる。 他にも次々、ガーディアンの仲間たちがエールを励ました。 最後にプレリーが通信機に出てくる。 『エール、聞こえている?』 「プレリー……アタシ……」 『それ以上なにもいわないで。みんな、あなたのことが好きなの。なにも返さなくていい。ただ、それだけを感じて』 エールはうつむいて、サソードゼクターを見る。 エールを励ますかのように、ジルが乗り移ったかのように一度だけサソードゼクターは鳴いた。 サソードゼクターをギュッと抱きしめ、エールはつい呟いた。 「ねぇ、モデルX……モデルZ……ドレイクゼクター……サソードゼクター……アタシ、とっても怖い。 ジルさんを傷つけたから、イレギュラーになってみんなを失うかもしれないから……。 だけどね……アタシの大切なヒトを失うのはもっと怖い。いいのかな、こんな自分勝手で。 ジルさんを殺したのに……イレギュラーになるかもしれないのに……アタシなんかが力を持っても、みんなを守るために戦ってもいいのかな?」 『エール、僕は君の勇気とともにある』 『大丈夫だ。エール、自分を……仲間を信じろ』 エールは顔を上げて、大型ビルに設置されたTVに映るカブトとワームの首魁の戦いを見た。 高い身体能力に、消えるワームの力にカブトは押されている。 何度も何度も倒されても、あきらめず立ち上がり続ける。 天道総司らしくない、泥臭い戦いを続けているのはきっと自分や街を守るため。 『ククク……もう終わりだ。天道総……っ!』 カッシスワームが勝ち誇るが、倒れたままクナイガンの銃弾を浴びせたカブトが中断させる。 肩で息をしながら、装甲にひびを入れられながら、角を折られながら、カブトは再度立ち上がった。 『しつこい。なにが君をそこまで駆り立てる。この世界で孤独に生きるしかないのだろう?』 『たとえ俺が一人でも、ここには守るものがある。それがないお前には一生理解できない』 『守るもの? くだらない。世界が気に入らないのなら、世界を私たちに合わせて変えればいい』 再びカブトとカッシスワームが激突する。エールは孤独に戦う天道を見て、モデルXを掴んで瞳を見つめた。 エールは気づいた。ガーディアンの仲間たちが、エールとともに道を歩んでいることを。 エールはわかっていた。天道は自分たちと並ぶ道を行きながら、強すぎて孤独だったことを。 だからこそ、エールは天道に伝えなければならない。自分は、天道は、一人じゃないと。 「モデルX! モデルZ!!」 エールは知らず叫び、二つのライブメタルを両手に掴んだ。 エールは笑顔で心配そうに見つめているサルディーヌとフルーブに答える。 「少しだけいってくる。だからみんな、後はお願い!」 完全じゃないかもしれない。ジルのことは一生吹っ切れないだろう。 それでも背負って生きれる。それだけの強さを、仲間が与えてくれたのだから。 エールは二つのライブメタルを天に掲げて、堂々と宣言する。 「ダブルロックオン!!」 傷ついた翼(エール)は、仲間という風の助けを受けて、再び空へと飛び出した。 □ 加速空間の中で、カブトは宙に浮かぶ大きな瓦礫に飛び移りながら、カッシスワームへと接近を果たした。 このタイミングなら、時間停止能力を使われる前に斬り避ける可能性がある。 クナイガンの刃を返し、右肩を狙って振り下ろした。 「遅い」 つまらなそうな声が後ろから聞こえてくる。防御も間に合わず、背中から右わき腹を突かれた。 カブトのヒヒイロカネという希少金属で構成された装甲が砕け、血が噴出す。同時にクロックアップが解けて、瓦礫がカブトの周囲になだれ落ちた。 カブトはどうにか地面を蹴って刃を強引に引き抜き、振り返りながら銃弾を放つ。 そのすべてが、カッシスワームによって迎撃された。 「これでわかっただろう? 我がフリーズの力を持ってすれば、仮面ライダーなど恐れるに足らないことを」 「悪いが、俺は諦めが悪くてな……」 「フン、無駄な足掻きだ」 カブトはクナイガンをアックスモードに変形させて、片膝をつきながらも構えを取った。 顔の前に斧の刃を構え、カブトは一つ作戦を思いついた。 (あいつの剣が刺さった瞬間、掴んで逃がさない……) いくら時間を止められても、刃を掴まれては逃げようもない。 カブトとて無事ではすまないが、相手はワームのボス。無傷で勝てるようなぬるい相手ではない。 刺し違えても倒す。黒崎やロックマンVAVA、まだ見ぬ黒幕が残っているが、エールにすべてを託す決心を終えた。 カブトは……天道総司は孤独だ。世界を否定し、壊し、妹や仲間たちが生きる道を切り開いた。 だから天道は世界に否定されて、見知らぬ場所へたどり着いた。 ここでなら、妹であるひよりもともに戦った加賀美もいない。ガーディアンの仲間たちとはあえて距離を置いた。 エールは優しいから悲しむだろうが、今の状態からも自分の死からも立ち直ると信じている。 (俺が死ぬか……お前が生き残るか……) カッシスワームが右手首から生える細剣をカブトに向ける。 急所を外せるか否か、それこそが肝心だ。カッシスワームが純粋に脚力で加速する。 時速百キロに迫る速度に達し、カブトへと一直線に剣を突く。 カブトはただひたすら、カッシスワームの右手に集中して空の左手を開いた。 「天道ぉぉぉぉぉぉぉ!!」 カブトの集中力をトンの野太い声が中断する。カッシスワームに銃を発射しながら走ってきた。 カブトには「馬鹿、くるんじゃない!」と忠告する暇すら与えられない。 カッシスワームは体表を跳ねる銃弾を無視して、トンを鬱陶しげに見つめる。 ターゲットが変わってしまった。カブトがトンを庇おうと足に力をこめるが、カッシスワームが刃をトンに届けるのが速い。 カブトがうめいて、さらに力を入れた瞬間、赤い影が剣を振るった。 「なにっ!?」 カッシスワームは突然の乱入者にフリーズを使う暇もない。 振り下ろされ、莫大なエネルギーを開放して発生する衝撃波がカッシスワームを十数メートル後退させた。 ザッ、と足を地面に滑らせながら、赤い装甲を身にまとうロックマンが立ちふさぐ。 「エール……」 カブトがつぶやき、少女以外何者でもない存在を見つめた。 風が吹き、ロックマンとしての金の髪が火の粉が舞う中なびく。 カブトはジッと傷ついた翼を見つめた。 風が吹いてモデルZの特色であるやわらかい金の長髪が舞う。 炎が吹いてビルを焦がす中を歩き、エールは一言後ろのトンに尋ねた。 「トンさん、怪我はない?」 「ああ、ワシはピンピンしておる。それよりも天道だ!」 エールはうなずいて、膝を曲げて跳躍のための力をためる。 屈伸した膝は充分な力を補充し、一跳びでカブトとカッシスワームの間に立った。 「エール、トンを連れて逃げろ」 「いや」 「……あいつはまだお前が倒せる相手ではない。立ち直ったのなら、後のことを考えてここは俺に任せろ」 「いや」 エールの答えに表情の変化がいちいちキザな彼のことだ。きっとカブトの仮面の下で眉をしかめているだろう。 エールは意外にもそのことに腹を立てる気にはならなかった。だから本題に入る。問題はあのワームではあるが。 「エール……」 「天道、ずっと考えていたんだけどね、アタシはやっぱり……今後もジルさんみたいなワームを守ると思う」 エールは告げながら剣を構えるが、カッシスワームが動く気配がない。 余裕ぶっているのだろう。腹が立つ。 そして、震えそうになる心と身体が、先ほどの仲間の言葉で暖かさを取り戻して震えがとまる。 今のエールは、ZXセイバーを振るえる。 「天道は天の道を往くから、アタシとは違う道なんだってわかる。喧嘩することもあると思う。だけどね、天道」 エールはZXセイバーを銃に変形させて、チャージショットを放つ。 カッシスワームは余裕で避けるが、距離が開いた。好都合。 「違う道でもアタシたちの道は交わっているよ、天道」 エールはカッシスワームを警戒しながら、カブトへ右手を差し出す。 カブトはその右手より、エールの顔を見ていた。エールはなんの緊張もなくカブトへ笑顔を向ける。 ジルを殺して以来、久しぶりの笑顔。吹っ切ったわけではない。開き直ったわけではない。 心に残る重みを残したまま、前に進むことを覚悟したエールの笑顔だった。 「天道が強くて、一人でなんでもやろうとして距離を置いてくれるのはわかる。 ジルさんのときも、アタシのために汚れ役を引き受けてくれたことを知っている。 けどね、天道。アタシもみんなも、天道が考えるほど強くない。けど、弱くもない。 天道が口で言わないとわからないくらい察しが悪いし、わかっていても反発するかもしれない。 だからアタシは決めたの。仲間を……みんなを守る力を持って戦うって。一緒に戦ってくれる、“仲間”と一緒に!」 エールはカッシスワームへと踏み込んで、三合剣を合わせた。 火花が散り、神速を超える剣戟のやり取りを繰り返して、カブトのいる場所へと弾き飛ばされた。 あのワームは強い。やはり一人では無理だ。だからエールはカブト……いや、天道総司に再度手を差し出す。 「天道、あなたもアタシも一人じゃない。みんながいてくれて、天道もいるからきっとあいつでも倒せる。 だからお願い。アタシたちに……あいつを倒すため、この街を守るために力を貸して!」 掴んでほしい。ともに手を取り合い、立ち向かってほしい。 カブトは天の道を往く。それは時にエールは戦わねばならない道かもしれない。 それでもエールは叫ぶのだ。 ガーディアンの仲間たち同じく天道総司は、自分たちの仲間であると。 カブト……いや、天道総司は差し出された右手を見つめてフッ、と力を抜いた。 天道総司は孤高に戦い続け、孤独であった。 彼が人付き合いが苦手というわけではない。天の道を往く彼は人に好かれることも一流であった。 非常識で言葉使いがぶらっき棒だが、他者のために動く天道は好感をもたれやすい。 しかし、天道は一人でなんでもできすぎた。 立ち向かうべき障害は一人で乗り越えてきた。もともとあった才に加え、努力をいとわない。 ゆえに天道は自分一人で動くことが一番うまくいくと思っていたのだ。 もっとも、それは幻想であった。 ネオゼクトの力を利用しなければハイパーゼクターにたどり着けなかった。 ハイパーゼクターがなければ妹は救えなかった。 ガタックに変身する加賀美がいなければ、コーカサスからハイパーゼクターを奪えなかった。 そして、天道に力を貸したものはみな消えていく。 失う運命なら、自分一人で責を背負おう。だから一人で七年前まで戻った。だから一人で世界を破壊した。 なのに、少女は言う。天道は自分たちとともにあっていいと。 (もう一度、お前たちのような奴とともに戦っていいか? 織田、加賀美……) あの男たちが否定するわけないか、と天道は笑った。 ゆっくりとエールの差し出した右手を掴む。 「それはこちらの台詞だ。あいつは強い。エール、トン、みんな。力を貸してくれ」 エールとトンに満面の笑顔が浮かぶ。 カブトはボロボロながらも、天道は強く満ち足りた心持ちであった。 「ようやく終わったかね?」 カッシスワームが両腕を組み、退屈そうに尋ねた。 エールは挑戦的な笑みを浮かべ、カブトを立ち上がらせて告げる。 「ええ、おかげさまで。お礼にあなたを倒してあげる!」 「そうだ、その意気だ!」 トンがエールを力強く肯定し銃を構える。ぼろぼろの身体なのに、無理をする。 だが、無理といえばエールもカブトもそうだ。カブトは満身創痍。エールは病み上がり。 それでもエールはZXセイバーの刃を展開する。身体が軽い。どこまでもエールは飛べそうだった。 正眼にエネルギーの刃を構えるエールの横を、カブトが一歩前に出た。 いつもの台詞か。どこか心待ちにしていたことをエールは自覚する。 「何度でもかかってこい。キサマらでは私に勝つことは不可能だからな」 「不可能か。その言葉を必ず後悔する。なぜなら……」 カブトは右人差し指を天に向けて、カッシスワームを見据える。 静かな迫力。取り戻した余裕。傷だらけでなお、闘志は衰えず。 「仲間という風を受けて、傷ついた翼で飛ぶ者がいる。その翼を暖めることしか太陽はできなかったが、飛翔するのを見届けれた俺にもはや不可能はない。 なぜなら俺にも……絆という風がついていたのだから」 「それもおばあちゃんの言葉か?」 カッシスワームの侮辱する言葉に、カブトは鼻で笑って無造作に一歩踏み出す。 一拍おいてカブトは宣言をした。 「いいや、これは俺の……俺の仲間たちの言葉だ」 エールは驚いてカブトの顔を見る。トンは一度照れくさそうに鼻頭をこすり、銃を構えた。 カブトは悠然と歩み、エールの頬が緩む。 自分が言った「天道も一人じゃない」という言葉に対する返答だ。 そしてエールは知らないが、トンがいった自分たちを信じろという言葉に対しての答えでもある。 ゆえに天道総司が告げたのだ。仲間の言葉であると。 カッシスワームは立ったままカブトたちを迎えた。 肩が上下し、明らかに嘲笑っている。だがエールは挑発に乗らない。 笑いたければ笑えばいい。その程度でカブトたちの覚悟は揺らがない。 「一人で戦うこともできないとはな。弱くなったか? 天道総司」 「……そうでもない。前からだ」 カブトの寂しげな声が風に溶けて消えた。エールだけに聞こえたほど小さな声。 しかし、カブトの足取りはしっかりしている。 「いくぞ、エール。トン、援護を頼む!」 「うん!」 「任せろ!」 トンの銃撃を背中に、エールは身を低くしながら高速移動を続けた。 トンの銃弾を蚊ほども感じていない様子でカッシスワームが身をかがめて剣を腰だめに構える。 突きの用意か。エールは恐れずに突撃する。カッシスワームの右手が動くと同時に、モデルXを通じてサソードゼクターを動かした。 「ほう」 感心したようなカッシスワームのつぶやきと同時に、彼の右手の剣をサソードゼクターが弾き飛ばす。 右腕が上がった瞬間、エールが輝くZXセイバーのエネルギーを開放する。 エネルギーの衝撃波がカッシスワームを狙うが、姿が掻き消えて空振りした。 くる。エールの背中に斬撃の衝撃。前にバランスを崩しながらも、どうにか立て直す。 一拍遅れて剣戟の音を耳にする。振り返りZXセイバーを横薙ぎに振るった。 予想通り、カッシスワームの刃をカブトがクナイガンで受け止めている。 エールの刃がカッシスワームの紫色の甲殻を削る。 カッシスワームが舌打ちをしながら後退をした。始めて攻撃が通ったことにカッシスワームが戸惑っているが、エールは続ける意思をセイバーに込めた。 『エール、天道。そのまま続けろ!』 『過去に僕たちが戦った相手に、同じように時間を止める敵がいた。何度も連続で使えるのは脅威だけど、持続時間はそう長くない』 「なるほどな。時間停止の時間は短く、相手に接触すると同時に解けるというわけか」 カッシスワームはライブメタルたちとカブトの推理に沈黙を返した。 三人の推理が当たっていることの証明だ。エールは笑みを浮かべ、地面を蹴る。 カッシスワームが壁の瓦礫をエールに飛ばすが、トンが射撃で撃ち落す。 ナイス援護、と内心でつぶやいている間に、カブトがカッシスワームに斬りかかった。 カッシスワームの姿が消える。モデルXの声がエールの耳朶を打つ。 『エール、左だ!』 振り向き、迫るカッシスワームの刃をサソードゼクターが打ち落とすのを目撃する。 カッシスワームが力任せに軌道を修正し、エールの肩へ刃を落とした。 チャージセイバーとカッシスワームの突きが同時に当たり、エールは吹き飛ぶ。 「フリーズを破ったと勘違いしては困る。この私の最大の力はこの接近戦にあるのだからなぁ!」 知るか、そんなこととエールは内心叫び、飛んできたサソードゼクターを受け取った。 モデルXの額が光る。サソードヤイバーをエールは掴み、変身を宣言する。 「クロスロックオン!」 エールの叫びにサソードゼクターが応える。 サソードゼクターから生成された六角形の金属片が光となってエールの身体をまとう。 光から装甲が形成され、小手、胸、腰とパーツを形成していった。 腕と肩をつなぐ、マスクドフォームの特徴のチューブが形成し、サソリを模したヘルメットがエールの頭部を収める。 サソードヤイバーを一度だけ横に振り、エールはロックマンSX(サソードエックス)へと姿を変えた。 おかしい、とカッシスワームは内心つぶやく。 エールとトンが駆けつけてからというもの、カッシスワームは押されるばかりだった。 カブト単体ではかすり傷すら負わなかったのに、今は何度も直撃を受けて確実に体力を奪われている。 カブトもそうだ。妙に動きの切れがよくなり、怪我人とは思えないほど鋭い攻撃を繰り出していた。 おかしい、と二度つぶやく。 カッシスワームの時間停止能力(フリーズ)は、クロックアップの究極進化系といってもいい能力だ。 リスクといえば使用時間がクロックアップよりも短く、エネルギーを大きく消費するためクロックアップほど連発が利かず、攻撃を当てて“他者を動かした瞬間”能力の行使がとまるといったところだ。 カッシスワームはその弱点を熟知しており、接近戦において無敵を誇るほど鍛錬を積んだ。 ゆえにフリーズを破られても無敵の近接能力がある。複数対一だろうが、フリーズを無効化しようが、カッシスワームに敗れる道理はないないはずだ。 (なのに……この私が追い詰められているだと?) カッシスワームの戸惑いは当然だ。クロックダウンチップによってフリーズを無効化されても、複数で襲われても誰一人傷をつけることは敵わなかった。 なのにただ、カブトとロックマンZXの少女と、雑魚といっていい隊員一人に追い詰められている。 その事実が、今まで無敵だったカッシスワームの矜持を傷つけた。 (認めん!!) カッシスワームがフリーズを起動させようと準備する。強引に接近をしてカブトを斬り、返す刀でエールを引き裂けばいいとやや短絡的に考えた。 能力を行使しようとしたとき、モデルXの声が舞台に広がる。 『時間停止の力が来る! エール、天道さん、準備を!』 忌々しい、とカッシスワームの顔が歪む。地球人には認識できない表情の変化のまま、カッシスワームの耳に『Put on』の電子音が届く。 一拍遅れてフリーズを使うが、エールはサソードの触手を繭のように巻いて、カブトはマスクドフォームとなってガードを固めていた。 トンのことは眼中にない。一瞬だけカッシスワームは迷ったが、エールを斬り裂いてフリーズを解除。 流れるようにカブトへ刃を走らせるが、斧に変形したクナイガンで受け止められる。 「ありがとう、トンさん」 カッシスワームの後ろでエールの声が聞こえる。振り向くと、トンがエールを受け止めて体勢を予想よりも早く立て直していた。 エールの肩と腕からチューブが伸びて、カッシスワームの全身を巻きつける。同時に弾けたカブトの装甲が身に降り注いだ。 トンを軽視したことが裏目に出たのだが、カッシスワームはそのことを反省しない。 「終わりだ、乃木怜治」 一から続く死のカウントダウンを終えて、カブトゼクターがライダーキックを宣言する。 後ろではサソードゼクターがライダースラッシュと電子音を鳴らしていた。 フリーズを使って触手を振りほどこうとするが、もともとはマスクドフォームのもの。 フリーズの有効時間では千切れず時が戻る。 「……いいだろう。今回はキサマたちの勝利だ」 エールとカブトの「ライダースラッシュ」と「ライダーキック」の言葉がほぼ同時に出る。 前後を挟んで迫る蹴りと刃を前にしてカッシスワームは吼えた。 「だが、我らワームの終わりではない。私は……私は必ず戻ってくる! 地獄の淵からなぁ!!」 カッシスワームの身体が砕け、裂ける。爆発が全身に回り、甲殻を砕く感触を受けてもカッシスワームの意識はなお怒りに燃えていた。 ビルの屋上に火柱が走る。カッシスワームであった存在が、その強さを証明するように火柱はどこまでも天に続いた。 エールは天に昇る火柱が消えるのを見届けて、大きく深呼吸をした。 通信によると街を襲っていたイレギュラーも退いていっているらしい。 事件はお終いだ、天道を見る。天道の変身が解除されて、珍しくボロボロの姿を見せた。 「よくやったな、エール」 天道はそれでも余裕の態度でエールに笑顔を向ける。 エールは笑顔を返そうとして、天道が後ろに倒れた。 トンと一緒に、思わず名前を呼ぶ。 「「天道!?」」 天道はビルの淵にいたため、地上へ落下しそうになる。体力を失っているのか、腕を動かしていない。 エールが地面を蹴って右手を伸ばそうと考えるが、どう見ても間に合わない。 それでもエールは地面を駆けて天道を掴もうとする。天道の空の右手が空を切った。 「あぶなっかしいな」 そのとき、やや苛立たしげに告げて天道の右手を掴む者がいた。 金髪に煤に汚れた顔を不機嫌そうにしながらアランは天道を助け起こす。 エールがホッとしていると、アランは天道に肩を貸しながら告げた。 「天道、勘違いするなよ。俺はまだ認めていないからな」 「なに言っているんだ、アラン。天道を巻き添えにするからって、狙撃から接近戦に切り替えようって言い出したのはお前だろ。 それは間に合わなかったけど、無事な二人を見て安心したくせに」 ドラードが現れてアランに呆れた様子で告げると、アランはやや顔を赤くしながら勢いよく振り向いた。 「あれはエールもいたからだ! 絶対こいつ一人だったら撃っていた!」 「天道が倒れそうになったからいきなり走ったじゃないか。あの反応速度は凄かったぞ。 それに、天道が俺たちの言葉だってTVに映ったとき、とても嬉しそうだったじゃないか」 「ほう、そうか。迷惑をかけたな、アラン」 天道がアランに礼を言うと、とたんにアランが顔を真っ赤にしてドラードを睨みつける。 ドラードは涼しげに受け流したため、アランは実力行使に出ることにした。 「うるさい、ドラード! それ以上喋るなぁぁぁぁ!」 アランが天道を放置されていた赤いバイク(後にカブトエクステンダーということを知った)に座らせ、必死にドラードを追いかけるがドラードは飄々とした様子で逃げ出す。 必死になるアランの姿に、エールはトンと顔を合わせて笑っていた。 プレリーから隊員に「ミッションコンプリート」の命令が告げられる。 エールはしばし風に身を任せて、心地よい気分に身を委ねていた。 物語はまだ終わりではない。 ワームは存在し、パンドラやプロメテは暗躍している。 被害は重く、最小限に抑えたとはいえ犠牲者は存在していた。 それに彼女たちにライブメタルが盗まれたことと、ガーディアンの研究員が皆殺しにされた報告が届くのは遠い未来ではない。 だが、今は彼女たちに勝利の美酒は許される。 空を飛ぶことを思い出した翼と、それとともにある風。 他人と交わることを再び選択した天の道。 すべてが一体感に酔い、笑顔を顔に浮かべるくらいの報酬はあってしかるべきだった。 □ 夜となって星の光りの下を、白いスーツに身を包んだ厳つい男が歩く。 イレギュラーによって襲われた街は沈黙を保っているが、傷跡は深い。 ガーディアンによる復興作業の合間を縫って、カブティックゼクター……コーカサスゼクターに選ばれた黒埼一誠が目的の場所へたどり着いた。 「調子はどうですか? 乃木怜治」 黒崎がつぶやくと、黒い長髪に黒いロングコート。メガネは砕けて、むき出しのナイフのような狂気を全身に身をまとわせた男がいた。 死んだはずの男は月を見上げながら、荒々しい咆哮を天に飛ばす。 「最低で……最高の気分だ。黒崎」 そういって振り向いた男が変わったことを黒崎は肌で実感した。 カッシスワームこと乃木怜治は突然変異種だ。高い科学力で全身を分析した結果、体内にエネルギーが残っている状態であれば進化を遂げつつ復活できる。 もっとも、高い実力も持つため簡単に死ぬことはなかったが。 「私……いや、俺は身体の全エネルギーを使って究極の進化を遂げた! フリーズを維持しつつ、相手の技を奪い取る能力を!」 酔ったように告げる乃木を見つめ、黒崎はわずかに目を見開いた。 分析によれば二回復活用のエネルギーが蓄えられているはずなのに。 それほどこの男も悔しかったことか、と結論をつけた。 「天道総司……エール。その名を覚えた。いずれ……我らがワームの生贄に奉げてやる!!」 吼えながら禍々しい紫の甲殻をまといあげる。 その姿はもう、ワームといえるのだろうか。 黒埼には判断ができなかった。 そう、まだ物語は続いていた。 脅威はさらなる力を得て天道たちの壁となって立ちふさがる。 天道たちを迎え討つ試練はまだまだ存在していた。 そしてまた、夜の街を歩く影がある。 短い茶色の髪の今風の優男。白い柔らかい衣装を着たまま月を見上げる。 淡く光る満月に、丸いコウモリのような影が入った。 「いくよ、キバット」 丸いコウモリのような影が、男の肩にとまる。 それ以上喋らず、不思議な雰囲気の男はただ一言呟いた。 ディケイド……と見知らぬ名を。 To be continued……